Entries

[tog]66:魂の所有者

 カズマは、はっと正気に返った。 開きかけた幾重もの心の扉が、ものすごい勢いで次々と閉まりゆく音を聞いた。「眩暈か?」 その腕を強く掴んで倒れかけた身体を支え、ギャランはカズマの顔を覗き込むと、心配そうにそう尋ねた。 カズマは冷静にギャランをすぐ傍に見た。その輝き、なんとも愛しい男である。 最後の扉を閉めるのは、自分だ。 一度開いたからには閉まるはずであろうに、しかしそれはとりわけ、重く、硬かった...

[tog]65:ライアー

 シャワーを浴びたとき、腹が減っているのを知った。空腹を覚えるまっとうな肉体的な疲労が、正直ありがたかった。 バスローブを羽織って、周子の眠るベッドの端に腰掛け、すっかり気の抜けた昨夜の酒を杯に注ぐ。ちょうど杯一つ分、残っていた。くっ、と呷ると、空いた腹によく染みた。痛かった。 小さなノック音がする。応じると、ドアを開けて入ろうとしたエンギワルーが「ちょ……」と言ったきり、ノブを掴んだまま目を見開き...

[tog]64:フェイク

 面倒なことはごめんだった。 別に情を求めるわけでもない、ただ久々に女の体を抱きたくなった、そんな時にしどけなく眠る女がたまたま腕の中にいただけのことだ、とカズマは思った。 抱きかかえると、いつもの彼女のその見かけよりもはるかにずっしりとした重さがあって、くたりとしていて心もとない。くたくたとした重い柔らかさ、その感触は扱いにくいというよりもむしろ、どういうわけかなんだかずっと……不思議と心地良か...

Appendix

最近のエントリ

過去の記事タイトル一覧 はこちらから

ブログ内検索

QRコード

QRコード

小説「タトゥー・オブ・ギャラン」も読めるよ!
http://klimit.blog7.fc2.com/

最近のブクマ byコハ

    Read more...on koharitoのブックマーク