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[tog_p2_11]「ヒーロー刑事」/タトパラ2

「トライフル刑事」〜狂気のロンド ガーナ署トリニティ〜/タトパラ2
第11話:「ヒーロー刑事」



「ここは父さんのお家なんですから、勘弁してください」
 ギャランは、畳を派手に掻き毟った挙句、なんか爪に刺さった、おそるべし日本家屋、と文句を言って爪の間に入った畳のけばをちまちまと抜いた。そして周子をじとっと睨む。
「父さん、ってつまりはお前の家だろうが。大体なんだよ、さっきから父さん父さんって。そんなにその男が好きなのか。一体全体何者だ、ありえねぇ美麗な顔立ちだし……ああ、でもお前に似てはいるな?」
「父は以前より、プリースト・オブ・ファング、つまり、牙の教徒に付け狙われていました。シーカーは私が物心ついたばかりの子供の頃からすでに周囲をうろちょろしていました。虫みたいなカタチをした、情報収集用の小型偵察ロボットです。父はソレを見つけては壊していましたが、父がいなくなって五年、ぱったりとシーカーも消え……、ですが、先日カズマ特別補佐官のご自宅で見つけました。自分は、シーカーが牙の教徒、ひいては父につながる重要な手掛かりと認識しています」
 職務中のような真面目で毅然とした口調で周子は言った。
「牙の教徒は、ご存知ですね?ギャラン刑事」
 ギャランは信じられないといった表情をした。
 ゆっくりと、諌めるように無言で首を横に振った。
 それはひどく不穏な動きだった。ギャランは低く掠れた声で呟く。
「シーカーに続いてそうきたか。おまえ、NGワード連発だ……」
「やっぱり、シーカーも、そして牙の教徒もご存知なんですね?」
「頼む、周子ちゃん、もう黙ってくれ!」
 ギャランは周子を羽交い絞めにすると大きな手でその口を塞いだ。
「たったいま、お前はシーカーも牙の教徒も忘れちまえ!忘れるんだ!」
 その声は、有無を言わさぬ命令口調だが、焦りの色を多分に含んでいる。
 周子はそこに明らかな手応えを感じた。
 それはこの五年間ずっと捜し求めていた、行方不明の父へとつながる手掛かりになり得るものだ。
 周子はギャランの手を振り払うと、正面切って毅然と話を続けた。
「牙の教徒は、何か父から情報を欲しがっていたのだと思います。父は哲学者なのだと自分で言っていましたが、世間一般で言う哲学者とはだいぶ違っていたようです。一緒に暮らしていても自分のことはまるで話してくれない人でしたから、実際父がなにをやっていたかだなんて私は知らないのですが、過激派テロ組織である牙の教徒が接触を試みるくらいですから、なにか物騒なものだろうとは察せられます」
 不意に。
 ぶんっ、となにか小さく空気が揺れるような音がした。
 それは例えば電波の周波数の変わる音だ、と周子は咄嗟に思った。
「周子、周子タチバナ、きみの父とは、まさかあの修三タチバナか」
 一瞬間を置いて、どこからともなく声が響いた。
 聞いたことのある声だ、と周子は思った。
 ―――その、清んだ、理知的な声は。
「くそっ!」
 ギャランが金髪を掻き毟り、忌々しげに舌打ちをした。
 次の瞬間、玄関ドアから窓から、黒づくめの武装した兵たちがなだれ込み、周子を取り囲んだかと思うと、いっせいにマシンガンの銃口を突きつけた。
 その重装備、一度テレビで見たことがある、と周子は思った。対テロ精鋭特殊部隊か何かの筈である。
「わあ本物……しかもカッコイイ」
「ひとまず手を上げておけ、周子刑事」
 はあ、と深く息をつく、沈んだギャランの声が静かに周子を促した。
 周子は大人しく両手を頭の後ろに組んだ。
「カズマ、見逃してくれよ、マジで」
「駄目だ。今この瞬間、指揮権は私に移った」
 すがるようなギャランの声に、キッパリと冷徹な声が返ってくる。
 周子はその声の出所を目で追った。
 ギャランのジャケットには小型の通信機器が仕込まれていたらしい。ということは、もうずっとギャランとの会話を聞かれていたということだろう。
 むしろ、聞かせる義務を負っていたと考えた方が早い。自分の様子を探っていたのだ、と周子はすぐに察しをつけた。
「いやしかしだな、周子ちゃんは」
「あきらめるんだな、ギャラン刑事。かのカルト系過激派組織の名が出ては、さすがに見逃せない、これは命令だ」
「カズマ特別補佐官!?」
「さらばだ周子刑事、きみは軽率さは命取りだ、ジ・エンドだ」
 ぞっとするほど冷たい声だった。
「……これ以上、彼女に勝手に動かれてはこちらが堪らない。消すしかない」
 ―――消す!?
「補佐官!あなたですか!この黒幕野郎!」
 周子は突きつけられた幾つもの銃口を無視してギャランの胸倉を掴むと、ジャケットの胸元に仕込まれた通信機に向かって怒鳴りつけた。
「取引したじゃないですか!私を殺さないって!それが何?昨日に続いて今日も殺す気満々なんじゃないですか!公安が私を殺すって、その公安を動かしているのは、これって紛れもなくあなたじゃないですか!嘘つき!鬼畜!悪者メガネ!」
「彼らは公安ではないよ?警視総監の直轄管理下にある特殊部隊だ。刑事のクセにそんな区別もつかんのか。胸の徽章を見れば一目瞭然だろ」
 まるでバカにしきったようなひどく冷静な声が返ってくる。
「あいにくだが、これは例の取引とは無関係だ。全く別件できみは致命的な機密に抵触したんだよ。とんだ災難だったな?それもこれもきみがちょろちょろと動くからだ、きみが悪い」
「なっ……」
 怒鳴り返そうとしたところへ、ギャランが強引に周子の肩を掴んで自分に向き直らせた。
「取引って、何だ!?お前、カズマと何か取引をしたのか!?」
 ギャランのカオは蒼ざめている。
「取引ってまさかお前、カズマと寝たのか!よりによってカズマと?」
「違います!なに言ってるんですか、寝たとか寝ないとかなにをそんな!この期に及んでまだ言うの?こんのエロ刑事!最低!」
 通信機の向こうで、かすかな笑いが漏れたようだった。
 挑発的で、威圧的な声が、高らかと響く。
「ああそうだ、ギャラン刑事、彼女は美味しく頂いた、だからとっととあきらめるんだな!さあこれで踏ん切りがつくだろう」
「ちくしょー!おれの周子ちゃんをあっさり食ったのかー!」
 ギャランが床にくずおれて拳で畳を打った。
 実に悔しそうである。
 見事に真に受けているその様子に、周子もつい思わず笑ってしまったものの、こうも見事にギャランを振り回すカズマの言葉も存在も、なにやら非常に気に食わない。きっとカズマはいつもこんな風にギャランをあしらって面白がっているのだろうと思う。
「補佐官!事実無根なこと言うなー!こんのど変態!」
 通信機の向こうで、ぐぐう、と唸ったような声がした。
 変態言うな、と、どすの利いた、低く冷たい声が返ってきた。
「周子刑事、いったいどうやって国家試験に受かったんだ?修三タチバナといえばコードネーム、イビサ。超特級の、世界を股にかけた伝説のテロリストだぞ?イビサ、その物騒な名は刑事たる者その骨身に染みていて然るべき名だ」
「てててて?テロリスト?」
 絶対違いますそんなの!と周子はすかさず叫んだ。
「イビサは二十年ほど前に消息を絶っている、私も捜査資料で知っているだけで直接イビサに対峙したことは無い。今きみの話を聞くまで奴は死んだと、全く過去の人間だと思っていたがね?……まさかイビサに娘がいるとは思わなかった、よくもまあ見事に姿をくらましていたものだな、潜伏生活か。その挙句に、娘が刑事だと?大体、アカデミー入学にしろ、採用試験にしろ、身辺調査でなぜ引っかからなかったんだ、私が引退した途端に諜報部も落ちたもんだな!強烈なジョークだな!テロリストが哲学者でその娘が刑事だと!?」
 血というものは恐ろしいものだな、昨日病室で私に抗ったときのあのすさまじい気迫はまさにその発露といった感じだな、ずいぶんと物騒な女もいたもんだな、とカズマは冷静に呟いた。
「親はかんけーねーだろ、実際周子ちゃんは現場でよく働いてくれ……」
 とりなそうとするギャランの言葉を、カズマの冷たい声が制する。
「配属一週間目で早速、納車されたばかりの装甲車で地下駐車場の柱を軒並みへし折ったそうだな」
「ぐ!あ、あれは、あれはおれがー!おれがやった!」
「バカ言え。かばうのもたいがいにしろ、シーカーと牙の教徒だぞ、その名をそうあっさりと口にされてなお生かしておくわけには行かない」
「バカはそっちだ!勘違いするな、”シーサー”と”競馬の競争”だ!おれと周子ちゃんはそんなカケゴトの話をしている、うーむ通信機の調子がめっさ悪い、よし、切るぞ、以上、オーヴァ!」
 周子はギャランの金髪をぐい、とわしづかんで引っ張った。
「ギャラン刑事、そんな真顔で、話を引っ掻き回さないで下さい」
「やあ、銃口を向けられてもきみはずいぶん冷静みたいだな、周子刑事」
 カズマが通信機の向こうで感心したような声を上げた。
 周子は全く怯まず、通信機の向こうのカズマに話し掛ける。
「シーカーと牙の教徒についてもっと詳しく話してください、カズマ特別補佐官」
「きみは自分の立場が分かっていないのか?きみは秘密を知りすぎた、死んでもらう」
「秘密!?秘密も何も!知ってからならまだ納得いきますが」
 私何にも知りません、と周子は食い下がった。
「シーカー、牙の教徒、この二つの単語を口にするだけでアウトだ。しかもイビサの娘と来た」
 ぴしゃりと返って来るその冷たい言葉に、すかさず周子は口を開いた。おそらく、この事態をもっと過激に展開させ得るであろう、父の残した言葉を呟く。
「インサニティ・レッド、ラジカル・ブルー、カズマ特別補佐官もこの言葉、ご存知ですね?」
「なにっ!?」
 カズマの声が驚愕に震えた。
「周子ちゃん、何言い出すんだ!」
 ギャランが慌てて叫んだ。銃口を無視して周子を掻き抱くと、その耳元で、黙ってろよ!と素早く囁いた。惜しむらくはその声すらカズマに届いていたことのようだった。
「ギャラン、どういうことだ?私は聞いてないぞ?」
 たっぷり数秒間があいて。
 カズマは、ギャランが上げるべきいくつかの報告を意図的に隠しているのを察知したようだった。
「とんだ骨抜きだな」
 その声はものすごく不機嫌な声だ。
「見損なったぞギャラン、今すぐ部隊に彼女を引き渡せ、こちらで始末する、これ以上お前に任せるわけにはいかん」
「カズマ」
「駄目だ!」
「頼むから」
「バカ言え!」
 ギャランは承服しかねるようにしばらく押し黙っていたが、やがて仕方なさそうに沈痛な声で周子に告げた。
「周子ちゃんはちょっと、まずいところに踏み込んで、でだな?」
「で?」
 周子は強気に出た。
 ギャランはそれに反比例するかのようにしゅん、となって。
「五年前の航空機の事故、シーカー、牙の教徒、インサニティ・レッド、ラジカル・ブルー、なんかもう駄目駄目言葉が勢ぞろいって感じ。周子ちゃんは、そのう……普通の人が言ってはいけないことをよくもまあ次から次へと……おれもこれ以上は口出しできなかったり、なんか、そんな感じ?」
 ギャランの言葉は歯切れが悪い。
 周子はやはり強気な態度で大きくうなずいた。
「あー、なるほど殺すんですね。ギャラン刑事もそうなんだ、あの悪のメガネ大王の手先なんだ、ふーん、好きだなんだとさんざんヒトの事口説いておいて要は、殺すかどうか、その通信機の向こうのバックヤードと相談してたんだ、ふーん、そのために朝の四時から人ん家上がり込んでごはんまで食べて、様子見てたんだ、そしていつ殺そうか考えてたんだ、ふーん、なにが無線も携帯もつながらないから心配してた、ですか」
「あ、いや、心配してたのはホントだ」
 ギャランは焦ったように周子をとりなそうとする。
「何事もなかったかのように丸め込めれば、それならまあいいだろうと、そのラインまではカズマを説得できたんだがな?……おれは朝から一生懸命、お前を誤魔化そうと、丸め込もうと。……だがお前が五年前の航空機爆破事件だのシーカーだの牙の教徒だの、口にしてはいけないことをばかすかばかすか言い出すからんもういっそう厄介なコトに。指揮権まで移っちゃって、んまあこの有様……」
 ギャランは畳に目を落とした。玄関や窓ガラスを打ち破って突入してきた武装兵は当然のことながら土足である。ごついブーツでさんざんに踏みにじられた畳はもうすでにかなりの傷みようである。
「あーっ!」
 周子は叫んだ。
「爆破事件って言った!」
「あ、しまった!」
「ギャラン!いい加減にしろ!お前はもう二度と口を開くな!」
 焦ったように口元を押さえたギャランのうめきと、苛立ったカズマの罵声が同時に飛ぶ。
「やっぱり何か裏があるんですね?」
「周子刑事、きみのその口はまさに命取りだ、大人しく私の指示に従え」
 周子の言葉を遮るカズマの声はどこまでも冷たい。
「殺すんなら、冥土の土産に聞かせてください、それくらいいいでしょ!」
「その手に乗るものか。何らかの手段でそうしてきみは逃げる気だな!まったくきみの言葉は絶妙なタイミングをついてくるな!」
 感心はするが、さっさと忘れることにしよう、始末した人間の事を覚えているのは後味が悪いから、とカズマはキッパリと言い捨てる。
 始末、という言葉にギャランの肩はビクリ、と大きく揺れる。
「なあカズマ」
「駄目だギャラン、お前は黙ってろ」
 一瞬で却下である。
 この指揮権はカズマなんだよねぇ、とギャランは深くやるせなさそうに息を吐くと、畳の上からタバコを拾い上げ、一本口に咥えた。胸のポケットをまさぐりライターを取り出す。
「愛だの恋だので誤魔化せれば、と思ったんだがな?」
 その言葉に周子は無性に腹がたった。誤魔化すにしてもなんだか手段が大間違いだ、と周子は思った。忘れたことにしろ、と、もっと筋を通して話をしてくれればこんな厄介なことにならなかったはずだ、それなら応じることはできる、自分はそのくらいの機転は十分に利く筈なのだ。
 ―――言うに事かいて!結婚って!何よ!あったまきた!
「ナンデスカ、ギャラン刑事、じゃあさっきのはごまかしですか、好きだとか好きだとか好きだとか!なーんだ嘘なんだ、結局それも私を量ってたんだ、殺すか殺さないか!」
「ばか!違う。おれは本気でお前に惚れてるぞ。おれがいまどんな気持ちかお前に分かるか」
 ギャランの声は重い。
「……おれがお前を殺したいと思うわけないだろ、ただ命令は絶対だ」
「じゃあ……」
 周子はギャランをキッ、と睨み据えて言った。
「じゃあ、助けてください!」
「え?」
「惚れた女を守るのがあなたの夢なんじゃないですか!?」
 タバコの火を点けかけたギャランが、ぴた、と硬直した。
 たっぷり数秒間があった。
 周子には、それは、気の遠くなるような間だった。
「よし!」
 ギャランは短くそう応えてうなづくと、素早く身を翻し、あっという間に並み居る五人の武装兵をなぎ倒した。相手が油断していたとはいえ、どの武装兵をも一撃で仕留めたそれは、まるで無駄の無い実に鮮やかな身のこなし、一瞬の出来事だった。
「カズマ!」
 ギャランは叫んだ。
「ラジカル・ブルー、特権を発動する、彼女はおれがバインド(拘束)する!」
「なんだとギャラン、貴様本気か!」
 カズマの悲鳴に近い動揺の声が通信機の向こうで甲高く上がった。
 ギャランが反旗を翻すという、まさにありえない不測の事態を察知したのか、冷静さを欠いた怒鳴り声が響く。
「無理だ!絶対無理だ!相棒刑事は署でのアソビだろうが!バカ言うのもたいがいにしろ!」
「無理なものか!おれが周子を見る、ルシウスにそう伝えろ!ガタガタ抜かすな、以上、アウト!」
 ギャランは矢継ぎ早にそう叫ぶと、ジャケットから通信機を毟り取り、玄関の叩きに投げつけ、ブーツで踏みつけると、あっという間に粉砕した。
 カズマを怒鳴りつけた息の荒いままに、ギャランは手早く事実を言おう、と至極真面目なカオで周子に向き直った。
「五年前の航空機事故、あれは爆破だ。そして同日同時刻に別の場所で爆破事件があった、カズマをぶっ飛ばしたやつだ、あの時はおれの判断ミスでカズマを現場にやっていた。カズマを殺ったのは囮で、両爆破事件とも犯人は牙の教徒、奴らが狙ったのは航空機だ。そこまでは分かっている。おれはお前の親父の正体も行方も知らんが、シーカー、牙の教徒、その名が出てくるあたりろくなことはない。おれとカズマはかれこれ五年、牙の教徒の行方を血眼になって追ってる、以上だ」
 ギャランの言葉はこの上なく簡潔だった。
「牙の教徒は深く地下に潜った組織だ、その名を知る者は限られている、迂闊に口にするな、シーカーもだ、これは命令だ」
 簡潔にキッパリと、枝葉を払った事実だけを周子に伝えると、ギャランは肩を落として、はーあ、と深く息を吐いた。
「お前がもうちょっと大人しくしていれば、こんなことにはならなかったのになァ、すげー気が強い上に頭がいいというかなんというか、参ったね」
 そう言って畳の上に昏倒している武装兵五人を見下ろして。
 ギャランは金髪をばさばさと掻いて、すまなそうに笑った。
「悪いことしちゃったけど……ま、あとで飲みに連れてっか」
 ―――飲みに?……そんな仲なんですか?
 周子は唖然としてギャランを見つめた。
 ヒーロー刑事を公言するギャランの理想をぐさりと突いて焚き付けたものの、いざ動かしてみれば、そのあまりの勢いと見事な暴れっぷりに周子はすっかり言葉を失ってしまったのである。
 ギャランはさっぱりと気分を切り替えたようにぐりぐりと首を回し、ニ三度肩を上下に揺すって、ふうっ、と大きく息を吐き、周子を見た。その表情は肚を括った、といった感じの実にさばさばとした明るいもので、だがどうにもどっしりとした安定感のある、とても男らしい表情だった。
「来るな?」
「ええ勿論」
 周子は一度しっかりとうなずいた。
 父さんを探す手掛かりは確実にここから手繰れる筈だ、という自分の直感を信じて。周子はこの男の行く先が、たとえどんなに危険な所でも絶対に付いて行こうと心を決めた。



(第12話へつづく)

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