コハリトりみっと
長編恋愛FT「タトゥー・オブ・ギャラン」がメインの小説・雑記サイト。
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とっぷりと、月が中天を過ぎる頃、ようやくギャランは屋敷に戻ってきて。
部屋のドアを開けるなり鼻についた酒の匂いに不審げに眉を寄せた。
「ダレだ……って、あー。あー、なんだこりゃ」
見れば棚が荒らされていて。
先日しまっておいた極上のバーボンが封切られていて。
あまつさえ、もう既に半分以上、空いていて。
グラスが横倒しに。床にバーボンがこぼれている、グラスが一個あるだけのところ見ると、どうにも一人で徹底的にストレートでやったらしい。
ギャランはあまりの惨状にばりばりと金髪を掻いた。そしてベッドの上を見てあきれたため息を吐いた。
―――そしてそのやらかした主はといえば。
「他人のベッドを勝手に、よくもまあこうも大の字で」
周子はさんざんに酔っ払ったのであろう、キャミソールにショーツのあられもない格好でベッドの上に大の字になって寝こけている。
「なんでそんな格好なんだ?」
その様は色気とはほど遠い。ギャランはとにかくあきれてはてて。
そうして暗い部屋の中、もう一度あたりを見回した。
ベッドの向こう側に、見るからにびしょ濡れの、ぐっしょりと酒に浸ったシャツとスカートがぞんざいに床の上に脱ぎ捨てられている。飲んでいるさなか、服にも派手にこぼしたのだろう、とにかく周子は相当に酔ったらしい。
これではホントに大トラである。急性アルコール中毒だとか、むしろ医者でも呼んだほうが良いだろうかなどと不安に思いつつ、周子の顔を覗き込む。
「おい、おいこら」
ぺしぺし、と頬を叩く。軽く頬を赤く腫らして周子がようやく目を開けた。
「あー、ギャラン」
「あー、じゃあねぇ、なんだこの惨状は!」
周子はトンだ目でがばりと身を起こすと、天井を仰いだ。仰いだ拍子に仰向けにまた転がりそうにそうになり、慌ててギャランが支える。支える己の腕にくたりとした周子の柔らかな身体がまるですっかりまたたびに酔った猫のように絡みついてくる。
「はー、いやー、さっきはちょっと言い過ぎたって言うか悪かったって言うかさー?とにかく謝ろうかと思って待ってたんだけどさー、そういや、前にここの棚になんか隠してたなー、って。聞いても内緒だって言って教えてくれなかったなー、いったいなんだったのかなー、エロ本かなー、って探してさ、そしたら、出てきたのが、なんか、あー、あははははははははは」
周子が急に楽しそうに笑いだした。
「やっけにうまいお酒でさ!」
「ああ!うまかろうよ!畜生ずいぶんムダに空けやがったな!極上品だぞ!」
「隠すから気になったんだよ!あははははははははははー」
「王の部屋を家探したァ、いい根性だ」
壊れたように大笑いして、再び周子はあっさりと眠りに落ちている。
取り合えず泥酔しているだけで、特段具合が悪いわけではないと分かるとギャランはほっと息をついて。
―――医者を呼ぶまでも無い、寝かせておきさえすれば大丈夫だろう。
床の上のバーボンのボトルを拾い上げると、そのまま一口含む。
「あ。やっぱ美味いわ」
口元をちょっと拭って。周子を見る。
だったらもっと早くに帰ってきて一緒に一杯やりたかったなと思う。もともと、自分も周子も怒りが長続きするタチではないのだ。こうして酒の一つでもかわせばあっさり仲直りできるはずだった。
―――おれは何をそんなにムキになっていたんだろうな
その理由にはすぐに思い当たる。
―――ロレンス、か
周子がロレンスばかりを求め、頼ろうとするのが、無性に肚が立ったのだ。
―――ひとたびおれを頼りさえすれば、それこそどんなことでも力を尽くしてやるのに。なぜおれを求めないのか。こちらの向ける好意をすべてタトゥーの呪の効力の所為にして、何一つ信頼しようとしないその態度がなんとも腹が立つ。
そのまま一気にボトルを空けて。
しばらく周子を眺めていたが、一度は脱いだジャケットを再び引っつかむと、ギャランはテラスから庭へと出て行く。
「たまには一人で星空でも見るか」
むしろさばさばした様子で夜空を見上げる。
泥酔した女に良くない考えを抱くほど落ちぶれちゃあいない、と思いながらも、ロレンスのことを思えば、肚の底が焼ける。下手をすれば手を出しそうで、ギャランはその甘い寝息をそばで聞くことをあっさり放棄した。
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部屋のドアを開けるなり鼻についた酒の匂いに不審げに眉を寄せた。
「ダレだ……って、あー。あー、なんだこりゃ」
見れば棚が荒らされていて。
先日しまっておいた極上のバーボンが封切られていて。
あまつさえ、もう既に半分以上、空いていて。
グラスが横倒しに。床にバーボンがこぼれている、グラスが一個あるだけのところ見ると、どうにも一人で徹底的にストレートでやったらしい。
ギャランはあまりの惨状にばりばりと金髪を掻いた。そしてベッドの上を見てあきれたため息を吐いた。
―――そしてそのやらかした主はといえば。
「他人のベッドを勝手に、よくもまあこうも大の字で」
周子はさんざんに酔っ払ったのであろう、キャミソールにショーツのあられもない格好でベッドの上に大の字になって寝こけている。
「なんでそんな格好なんだ?」
その様は色気とはほど遠い。ギャランはとにかくあきれてはてて。
そうして暗い部屋の中、もう一度あたりを見回した。
ベッドの向こう側に、見るからにびしょ濡れの、ぐっしょりと酒に浸ったシャツとスカートがぞんざいに床の上に脱ぎ捨てられている。飲んでいるさなか、服にも派手にこぼしたのだろう、とにかく周子は相当に酔ったらしい。
これではホントに大トラである。急性アルコール中毒だとか、むしろ医者でも呼んだほうが良いだろうかなどと不安に思いつつ、周子の顔を覗き込む。
「おい、おいこら」
ぺしぺし、と頬を叩く。軽く頬を赤く腫らして周子がようやく目を開けた。
「あー、ギャラン」
「あー、じゃあねぇ、なんだこの惨状は!」
周子はトンだ目でがばりと身を起こすと、天井を仰いだ。仰いだ拍子に仰向けにまた転がりそうにそうになり、慌ててギャランが支える。支える己の腕にくたりとした周子の柔らかな身体がまるですっかりまたたびに酔った猫のように絡みついてくる。
「はー、いやー、さっきはちょっと言い過ぎたって言うか悪かったって言うかさー?とにかく謝ろうかと思って待ってたんだけどさー、そういや、前にここの棚になんか隠してたなー、って。聞いても内緒だって言って教えてくれなかったなー、いったいなんだったのかなー、エロ本かなー、って探してさ、そしたら、出てきたのが、なんか、あー、あははははははははは」
周子が急に楽しそうに笑いだした。
「やっけにうまいお酒でさ!」
「ああ!うまかろうよ!畜生ずいぶんムダに空けやがったな!極上品だぞ!」
「隠すから気になったんだよ!あははははははははははー」
「王の部屋を家探したァ、いい根性だ」
壊れたように大笑いして、再び周子はあっさりと眠りに落ちている。
取り合えず泥酔しているだけで、特段具合が悪いわけではないと分かるとギャランはほっと息をついて。
―――医者を呼ぶまでも無い、寝かせておきさえすれば大丈夫だろう。
床の上のバーボンのボトルを拾い上げると、そのまま一口含む。
「あ。やっぱ美味いわ」
口元をちょっと拭って。周子を見る。
だったらもっと早くに帰ってきて一緒に一杯やりたかったなと思う。もともと、自分も周子も怒りが長続きするタチではないのだ。こうして酒の一つでもかわせばあっさり仲直りできるはずだった。
―――おれは何をそんなにムキになっていたんだろうな
その理由にはすぐに思い当たる。
―――ロレンス、か
周子がロレンスばかりを求め、頼ろうとするのが、無性に肚が立ったのだ。
―――ひとたびおれを頼りさえすれば、それこそどんなことでも力を尽くしてやるのに。なぜおれを求めないのか。こちらの向ける好意をすべてタトゥーの呪の効力の所為にして、何一つ信頼しようとしないその態度がなんとも腹が立つ。
そのまま一気にボトルを空けて。
しばらく周子を眺めていたが、一度は脱いだジャケットを再び引っつかむと、ギャランはテラスから庭へと出て行く。
「たまには一人で星空でも見るか」
むしろさばさばした様子で夜空を見上げる。
泥酔した女に良くない考えを抱くほど落ちぶれちゃあいない、と思いながらも、ロレンスのことを思えば、肚の底が焼ける。下手をすれば手を出しそうで、ギャランはその甘い寝息をそばで聞くことをあっさり放棄した。
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- 2005-10-26 12:03
- カテゴリ : 「タトゥー・オブ・ギャラン」/長編/連載中
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