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[tog]49:まどろみの向こう

 唐突に大きなボリュームで耳元で名前を呼ばれ、周子はようやく目を開けた。
 いい加減目を覚ませよ、と苛立ちのこもった、深く痺れるような甘い声が耳元で聞こえたかと思うと、身体の奥で何かが不意に激しく揺さぶられて。
「あっ、嘘っ……」
 身体の芯に響く熱い痛みに周子は短く声を上げた。
 と、同時に、身体の芯から指先やつま先に甘い痺れが疾って。痛みとはまた何か違うその衝撃に今度こそ本当に目がさめた周子は、勢いよくがばりと身体を起こしかけ……ギャランに組み敷かれているのを知ってぎょっとする。
「おう、目がさめたか?」
 周子は、ギャランが上機嫌に青い目を細めるのを間近で見た。待ってましたとばかりににっこりと微笑まれ、肩を押され、起こしかけた身体を再びベッドに押し付けられた。くっ、と何かが身体の奥を擦るように動いて、すんげぇ濡れてる、と耳元で囁かれて。それがギャランの指だと知って、周子は、さあ、と血の気が引いた。
「な、何する気」
 思わず声が掠れた。
 うん? とギャランが今更何処かそらとぼけたように喉を鳴らした。首筋に軽くキスが落とされ、ぐっとギャランの身体の重みを感じた、と、思うなり、身体の奥を押し広げるようにしてギャランが深く身体を傾け中に押し入ってくる。ゆっくりと、だが力強く身体の芯を貫かれ、周子は短く悲鳴を上げた。
「ナナナナナニヤッテ……っ!ギャラン!」
「そうだ、おれの名を呼べ」
 ギャランは傲慢にそう言ったが、だが次の瞬間、熱くて長い吐息を漏らした。
「ああ、やっぱすげー、いい……」
 とろけるような甘い声、初めて聞いたそんなギャランの声、そして深く満足したように周子の首筋に金髪を擦り付けてくる。周子は慌ててその頭を叩いた。
「だ、ダメ、ダメだって!」
「あんだよ、こんだけ濡れりゃそりゃ入るだろ、ちっくしょ焦らしやがって」
 何スカしてんだよ、とギャランはどうにも抑え難い己の情欲に苛立ちを煽られ、周子を押さえつけると、さらに奥までぐぐっと腰を押し進めた。
 すでに存分に濡れているのだ、どれほど狭くても押し込めば柔軟に入る。絡みつくような周子の内の熱い感覚にギャランはたちまち夢中になった。
 周子が堪えるように身体を固くした。ぐっしょりと濡れた周子の、だが初心なその芯の手応えに、ギャランはあれ? と首を捻った。お前ひょっとしてまじで初めてか、と聞くと、腹の下で周子はみるみるうちにかーっと赤面した。慌てたように身を捩り逃れようとする周子の肩をギャランはガッチリと押さえ込んで。
 その顔を覗き込む。羞恥を隠し切れぬ鋭い眼差しが返って来た。
「……お前……」
 頬ばかりではない、羞恥のあまり身体の肌までも紅く染まったようで、紅潮したその肌は異様なほどになまめかしく、美しかった。がつん、と頭の後ろを殴られたような衝撃だった。
 ―――ロレンスは周子を知らぬ、
 思わず身体が震えた。
「周子」
 名を呼んで口づける。
 ―――正真正銘、おれのものだ。
 なし崩しでもなんでも構うものか、確かにいま自分は周子を組み敷きその身体を貫いた、その身体を抱いているのはロレンスでも他の誰でもなく自分だ、これほど抱きたいと狙った女、それが自分しか知らぬのだと思うと、強い征服欲と御し難いまでに激しい独占欲が湧き上がりどうにも肚を焼いた。
 身体の奥まで押し込んで腰を揺らすと、周子が小さく叫んだ。身を捩り逃げをうった周子のその刺激にギャランは途端に全身の肌という肌が粟立つのを感じて。抗う周子を再びガッチリ押さえ込んで、一寸苦しげに息を吐くと周子の黒目を覗き込んだ。
「……ってお前、どこまで素なんだ? そんなに締めるな、ばか」
「ししししし、締めッ!?」
 なんてこというの! とでも言わんばかりに周子が黒目をまん丸に見開いて悲鳴を上げた。
 予想通りのそんな周子の反応にギャランは、ははは、と笑って。
「お前がイヤだって言うならやめるが? 嫌われたくないし。だが……」
 周子の戸惑いを押し切るように、ギャランは深く口付け、激しく口中をまさぐった。思うように呼吸のタイミングが計れずたちまちに周子の息が上がる、唇を外しざま跳ねるように大きく背をのけ反らせた羞恥と困惑とで涙の滲んだ黒い瞳を覗き込んで、もう一度優しくキスを落とす。
「おれは……」
 一度は引いた腰を、再びゆっくりと周子の奥へと身体を沈めてゆく。
「今更、離れ難い」


[tog]49:まどろみの向こう[2007/12/07]
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