コハリトりみっと
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「お名前は?」
「舛幸太(ますこうた)」
「……はいはい、幸せな、太さ、ね」
舛君はちょっと赤面したようだった。今思えば、彼は早熟だったのかもしれない。いや、実際のところ彼は早熟だった、というより文字通り彼は成長が早かった。
小学三年になる頃には、彼の体つきは高校生と並んでも遜色の無いものだったし、いつのまにか声も変わって、ピアニカを弾くその手もむしろ父さんみたいにごつい、男の人の手だった。
彼はとても真面目で、宿題はもちろん掃除当番もウサギの飼育係も面倒くさがらずにしっかりこなした。でも年に一度か二度彼が学校を休む日があって、それは必ず身体測定の日だった。
「身体の成長が早くて恥ずかしいんだろ」
そろそろそういった個体差が気になる年頃だろう、男なんてそんなもんさ、って父さんは言ってたけど、火星人は成長が早い、それは私だけが知る舛君の秘密だった。もし誰かに喋ったら隠した触手でこしょこしょするよって囁かれるくらい、仲が良かったから。
のちに授業で「ドッグイヤー」という言葉が出てきた時、クラスのみんなは騒然とした。
(舛の奴、あいつほんとは犬なんじゃねぇか?)
クラスの男子が面白がって「しっぽ検査」と称してある放課後、いやがる舛君を体育倉庫に連れ込んだ。
あんなことされて怒らないのかと聞いたら、舛君は、もう先生に怒られたみたいだから気にしてない、って言ってた。むしろ気にしているのはクラスの男子で、その事件のあった翌日にはみんな打ちひしがれたような表情をしていた。
舛君はもっこり笑って言った。名前に恥じない生き方をしたい、それが彼の口癖だった。
「犬祭3」投稿作品。自由投稿、火星人お題使用。688文字。
感想は「犬祭3作品感想掲示板」へお願いします。
「舛幸太(ますこうた)」
「……はいはい、幸せな、太さ、ね」
舛君はちょっと赤面したようだった。今思えば、彼は早熟だったのかもしれない。いや、実際のところ彼は早熟だった、というより文字通り彼は成長が早かった。
小学三年になる頃には、彼の体つきは高校生と並んでも遜色の無いものだったし、いつのまにか声も変わって、ピアニカを弾くその手もむしろ父さんみたいにごつい、男の人の手だった。
彼はとても真面目で、宿題はもちろん掃除当番もウサギの飼育係も面倒くさがらずにしっかりこなした。でも年に一度か二度彼が学校を休む日があって、それは必ず身体測定の日だった。
「身体の成長が早くて恥ずかしいんだろ」
そろそろそういった個体差が気になる年頃だろう、男なんてそんなもんさ、って父さんは言ってたけど、火星人は成長が早い、それは私だけが知る舛君の秘密だった。もし誰かに喋ったら隠した触手でこしょこしょするよって囁かれるくらい、仲が良かったから。
のちに授業で「ドッグイヤー」という言葉が出てきた時、クラスのみんなは騒然とした。
(舛の奴、あいつほんとは犬なんじゃねぇか?)
クラスの男子が面白がって「しっぽ検査」と称してある放課後、いやがる舛君を体育倉庫に連れ込んだ。
あんなことされて怒らないのかと聞いたら、舛君は、もう先生に怒られたみたいだから気にしてない、って言ってた。むしろ気にしているのはクラスの男子で、その事件のあった翌日にはみんな打ちひしがれたような表情をしていた。
舛君はもっこり笑って言った。名前に恥じない生き方をしたい、それが彼の口癖だった。
「犬祭3」投稿作品。自由投稿、火星人お題使用。688文字。
感想は「犬祭3作品感想掲示板」へお願いします。
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