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[tog]4:召喚された先

「……」
 召喚された修三は、驚いたような表情をほんの一瞬見せた。が、すぐにいつもの怜悧な無表情に戻ると見下げ果てたような冷めたかすれた声で呟いた。
「……こんな若造に出し抜かれるとは、クレリック・リザート、あ奴も落ちたな」

 修三の目の前の若い男は、掛けていたサングラスを外し胸ポケットに挿すと、代わりにそこから煙草を取り出し、火をつけた。
 優美な紫煙の香気がゆったりと立ち上る。
 考え深げでいて、それでいて大胆に獲物を狙う狼のような、情欲の炎ゆらめく眼差しでじっくりとなぶるように見つめてくる。
 修三と同じ黒目黒髪、白皙の肌、色めいた狡猾な美貌からぞっとするほど冷酷であでやかな微笑が放たれる。
「お前さんから譲り受けたいものがあってな? 挨拶に来たんだよ、お義父上殿」
「…………義父上?」
「そ。お義父上殿」
 たちまち不快そうに修三の秀麗な眉が寄った。不意に空気ががらりと変わり、長い指が素早く印を結びゆく。
 瞬時に激しい突風がその足下から吹き上がり、修三の長い黒髪がざばりと逆立つ。魔法風、その強烈な威圧感はベースで見せた周子のそれよりもはるかに容赦が無い。
 みしみしと空間がきしみゆく不気味な音を聞きながら、だが男は全く動じることなくゆったりと深く煙草を一口吸った。ふふ、と笑いながら軽くその煙を吐いて。
「いい殺気だ―――」
 妖しくかき乱れる優美な紫煙の向こうからぞっとするほど冷徹で妖艶な流し目で修三を射抜く。
「無駄、さ。……百代目は何処だね? 修三、修三タチバナ」
 修三の滅多に表情を変えぬ冷たい双眸が、驚愕に見開かれた。


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